2018年10月3日(水)、東京都立高島高等学校にて近未来ハイスクールを開催しました。

今回は、「多様な働き方:会社を作るってどうやるの?~アイデアマンたちの頭の中~」というテーマを掲げ、
ネットマーケティングのコンサルタント・コーヒー屋・学校講師・バーのマスター・映像関係の仕事、など多岐にわたり活躍している舘田智さん(フェリックス・ウェイ有限会社代表取締役)
一級建築士で、設計事務所「ゆくり研究室」を立ち上げた松山千晶さん
大手化学メーカーの花王に23年勤務し、現在はコンサルティング業務や、東京大学客員教授としての業務などをこなす本間充さん

が参加し、パネルディスカッションや生徒との対話を行いました。

アイデアを「出す」ために

三人の話によれば、自分の中の引き出しを増やすためのインプットと、そして周囲の観察とそれに伴う疑問感・課題感の追求が重要です。

松山さんは、「引き出しの掛け合わせで新しいことを生み出す」と述べます。これは、知的発想法に関するロングセラー書籍『アイデアのつくり方』での著者ヤングの名言「アイデアとは既存の要素の組み合わせ以外の何ものでもない」という言葉にも表されていることで、その真理性が伺えます。

また、舘田さんと本間さん両者が周囲の観察の重要性を挙げており、そこで抱いた疑問を突き詰めることがアイデアの発想には重要だと話します。本間さんが例に挙げた、折り畳み式携帯電話の考案は、カバンの中で勝手にボタンが押され誤発信されることを恐れて従来の携帯のしまいどころに困っている女性の観察がきっかけだったという話は、説得力をもってそれを示していました。

 

アイデアを「広げる」こと

ここで印象的だったのは、そのプロセスにおける「性差」です。花王に長く勤めた経験から性差への意識を持つ本間さん曰く、女性は直感的な決断が鋭いのに対し、男性は自分の判断に自信が持てず、背中を押してもらうために他者にヒアリングをする傾向にあるといいます。実際に、男性である舘田さんはアイデアを広げる際、「周囲の人にそれを話し、ある程度可能性が見えたらとりあえずやってみる」とのことで、まさに本間さんの分析通りのプロセスを踏んでいたのが驚きでした。

また、アイデアを広げる際には、可能性が見えるならとりあえず小規模でもやってみること、そしてアイデアを他者に説明するときにしっくりくる言葉にできること、が重要だという話もありました。

 

アイデアが「当たらなかった」とき

当然ながら、アイデア出しのプロであろうとも、出すアイデアがすべて思った通りに成功するわけではありません。

ここでのキーワードは、ずばり、「鈍感力」です。上手くいかなくても、気にしすぎないこと、切り替えを早くすることが重要となります。舘田さんは、「原因がわかっていて改善策が浮かびそうなら諦めず続け、ダメそうならさっさと諦めて、次のことに取り組む。」と述べています。また、本間さんはビジネスにおけるアイデアの成否について、ビジネスでは野球で言うストライクゾーンとボールゾーンギリギリの成否であることが大半で、〇と×では表せないことが多く、だからこそ「ちょっと変えれば復活するかも」くらいの心持ちで取り組む方が良いと述べていました。

 

アイデアを「落とし込む」とき

ここで重要なのは、そのアイデアを知らない相手が聞いても分かるくらいかみ砕いた説明ができるか、です。つまりは、アイデアを第三者が聞いてわかる言葉に換言できるか、ということ。本間さんはこれに加えて、「説明する準備」をしておくことが大事だと述べます。ビジネスの世界では相手に説明する時間はあまり多くとってもらえないことが多く、だからこそ、短い時間で簡潔にアイデアを伝える準備をしておくことが重要となるのです。

 

高校生と職業人の対話の時間

パネルディスカッション後は、生徒がグループに分かれて職業人へ質問をする、対話の時間です。

その中で印象的だったのは「将来、起業してみたいけど、失敗したら借金とかしそうで心配」という声や「最大どれくらい借金を負いましたか?」「転職を重ねることへの周りからの目は?」などという質問です。これらの発言には、高校生が転職や起業に対して高いリスクを感じていることが表れていると思います。

しかし、上記の質問に対し職業人の三人は、「借金しないとできないビジネスもあるけれど、借金しなくてもできるビジネスもある。会社を作るのには資本金が必要だけど、今は1円でもできる。税金も、最低月6000円でOK。起業のハードルは下がっている」などの情報をはじめとして、高校生の抱く転職や起業への恐怖心をぬぐうような話をしていました。

また、「仕事は失敗してもいいけど、その時付き合っている人たちとの付き合いは絶対に大切にしないと、次にチャレンジできない」という、人とのつながりを大事にするべきだというメッセージや、「自分の好きなことは他の人の嫌いなことかもしれない。だから、自分の好きなことに自信をもって、強みに変えて良い」「最初の選択肢がゴールではなく、違ったな、と思ったら変えていい。選択肢を狭めずチャレンジほしい」「人生を楽しむことが大事だ」などといった自身の経験を踏まえた意見も投げかけていました。

 

この対話を受け、近未来ハイスクール終了後の高校生へのアンケートでは、「挑戦してみること=危険だと考えていたが、挑戦=おもしろいということもあるんだと思った」「転職や起業はリスクもあるけど、あまり気にせずチャレンジしようと思う」「仕事に対しての恐怖心みたいなものが少しぬぐえたと思います」などといった、意識の変化を示す声が多く見られています。

 

「多様な働き方」「アイデア」「起業」などがテーマのキーワードである今回の近未来ハイスクールに参加した高校生や職業人が、それぞれどのような未来を創っていくのか、とても楽しみです。

 

都立高島高校では、10/3(水)の他にも、5(金)、11/26(月)に同じテーマでそれぞれ別の職業人が話に行きます。12月には、再度訪問し、別の切り口で授業に参加してきます。
どんな変化が見られるか、高校生が授業をどれだけ楽しんでくれるか、その様子もレポートしていきますので、ご期待ください。