左 中山彩歌、右 小林利恵子(近未来ハイスクール スクール長)

近未来ハイスクールに参加し、志望大学を変更した高校生がいる。小学校の先生になるために教育学部へ入ろうと考えていた中山彩歌さんだ。

筆者の知人である中山順司さんに誘われ、娘の彩歌さんが参加したのは初回(2017年3月25日)の近未来ハイスクールだった。26名の異なる職業・会社の変人(=エッジのたったプロフェッショナル)たちと50名の生徒たちが、都立高校の一室で「かっこいい大人ってなんですか」をテーマに対話した。

もともと近未来ハイスクールに対しての最初の印象は、参加するかどうか迷う程度のものだった。「でも、迷ったら行こうと思った。いい刺激をもらえるとも思ったので」

参加して「視野が一気に広がった」と彩歌さんは振り返る。そこに来ていたのは、ゲームクリエイター、放送作家、教育ジャーナリスト、建築家、マーケター、研究者、編集者、母国で学校を作ってから日本へ留学に来たネパール人など、未知の業界の大人たちだった。身内以外の大人との関わりは学校の先生だけだった彩歌さんには、それらの人達との会話は貴重な経験だったという。

お父さんの中山順司さんは『お父さんがキモい理由を説明するね―父と娘がガチでトークしました』の著者。思春期をむかえて、会話が少なくなっていく娘さんと意図的に対話する場をつくりその記録を綴る、ほっこりする一冊だ。

その本を読んでいたので、会話の多い親子の印象があった。しかし意外にも「お父さんはあまり仕事の話をしない」という。実は話をしているが、娘の耳には入らないだけなのかもしれない。筆者も高校生の息子に対してよく思う「前にも言ったけど」と。

「親ではない人から話を聞くことで、何かしたいという気持ちになり、行動変容を起こすきっかけになった」

通う高校でも、卒業生の社会人が講演をするイベントがあるという。そこで登壇する国公立大学など有名大学へ進学した20代の卒業生が話すのは「大学受験」のこと。プリントをわたされて試験問題の解き方を教える時もあるという。

「本当は、大学受験の先の話を知りたいのに」と彩歌さん。

だから余計に「学校で近未来ハイスクールをやってほしい。周りのみんなも同じような体験をしてほしい。他の生徒たちも志望校が変わるくらいのインパクトがあるはず」と思うようだ。

2018年3月17日、彩歌さんが企画した近未来ハイスクールが開催された。

彩歌さんは、参加回数を重ね、次第に「しくじり先生」の番組のような会を開いて欲しいと思うようになる。大人がどのような挫折を経験したのか、それをどのように乗り越えたのか、という話から学びたいという。その話を聞いた近未来ハイスクールの職業人が言ったのは「要望を言うだけでなく、自分で企画したら?」

そして一緒に企画を実現した。図はその時にやりとりした企画書とレポートだ。内容もツールも変化している。

その後、中山順司さんは娘がPCを習得する様子の記事を連載する。そして、お父さんも筆者も最終回の内容に驚く。「え、志望学部変わったの?」

女子高生がパソコンを6カ月使った結果、志望先が教育学部から経営学部に変わってしまった話

近未来ハイスクールの影響は、早くても2、3年後、普通であれば5〜10年後に、あの時あの変わった大人が、こんなことを言っていたな、と思い出すイメージだった。約1年で志望学部が変わる。高校生の変容や成長は想像以上に早かった。

そんな彩歌さんに、近未来ハイスクールがどんなふうになって欲しいかと聞いてみた。「全国に知れ渡って、学校同士が近未来ハイスクールで連携できるといいのに」。まさに、我々も実現したい次のステップだ。

一方、彼女はこんなことを将来の目標の一つにしている。
「10年後、変人として近未来ハイスクールで高校生と話をしたい」