昨年12月より少しずつ、学校へお邪魔して、出張近未来ハイスクールを行っています。変人たちとキャリアの対話を行う授業や、特定のテーマについてその道のプロフェッショナルと探究する授業を高校で実施しています。

今回は6月21日(木)に東京都立高島高等学校にて、政治経済の選択授業として近未来ハイスクールを実施しました。
「この国の食と私たちの仕事の未来地図」をテーマに、「未来にこんな食べ物があったらいいのに」を考えるグループワークを行いました。
職業人は、農林水産省の変人、福田かおるさんと竹内くるみさんです。3月24日開催「日本の医・食を考える」近未来ハイスクールにも登場した福田さんと農林水産省入省2年目のフレッシュさが魅力の竹内さん。ごはんが大好きだからという理由がきっかけの一つとなり農林水産省で働いているおふたりは、仕事が楽しくて仕方がないそうで、今回のテーマについてとても楽しそうに話をしていたことが印象的です。

近未来の食卓~培養肉、3Dフードプリンター、スマートキッチン

プレゼンテーションでは、福田さんと竹内さんが、食の最先端技術についてさまざまな事例を紹介しました。培養液を使い細胞から肉を作りだす培養肉が実現しているという話では、牛を育てなくても食用の牛肉が手に入り、この技術が進んでいくと、将来は火星など今は不可能な場所でも食肉を作ることができるようになるかもしれないと熱く語ります。また、3Dフードプリンターが実用化されれば、「ダイエット中だから砂糖少なめ」「アレルギー食材を除いて仕上げる」「固いものを柔らかくして仕上げる」など、個々の状況や状態にカスタマイズした料理を簡単に作り出すことができます。最新技術が搭載された冷蔵庫は、音楽を流したり、タッチパネルを使って欲しいものを発注したり、外出先から冷蔵庫の中身を確認できるものがすでに発売されているそうです。

食の生産が変わり、加工・流通が変わり、個人の食が変わっていきます。次にどんな変化が起きるか、今度はグループで妄想していくワークに入ります。高校生からはさまざまなアイデアが出てきました。

・1個食べたらお腹がいっぱいになる“仙豆(せんず)”(漫画『ドラゴンボール』に出てくる万能な食材)
・腐らない食べ物、消費期限のない食べ物
・骨のない魚
・透明な醤油、ソース、ケチャップ(こぼしても汚れない)
・店の味を完全再現してくれる機械
・グルメテーブル掛け(漫画『ドラえもん』に出てくる道具で、食べたいものを想像すると瞬時に目の前に現れる道具)
・味覚の強弱を調整できるサプリメント
・自宅用食肉培養機
・病気が治る食べ物
・学校給食がなくなって「サプリを摂る時間」になる
・食べたい物が自動で口に飛んでくる
・電子レンジの逆の冷やしレンジ
・飲んでも減らないジュース、食べるジュース
・アンパンマンみたいに食べられる人が街中を歩いている
・残り物でレシピを考えてくれる冷蔵庫
・体内で足りない栄養素に変化する食べ物
・食べたら歌がうまくなるスイーツ
・1週間食べ続けると理想の体型になれるスイーツ
・ホログラムでおいしそうな食品を見ながら、サプリやブロック食を摂る

すでに実現!? 現在の最先端技術
生徒の皆さんも筆者も驚いたのが、たくさん出た未来の食事情についてのアイデアの半分くらいはすでに実現しているという事実です。
仙豆→ミドリムシ
店の味を再現する機械→ミシュラン星付きレストランのレシピ通りに火加減を自動調整してくれるフライパン
一週間食べ続けると理想の体型になれるもの→味覚改善プログラム(うまみダイエットKit)
ホログラムでおいしそうな食品を見ながらサプリやブロック食を摂ること→VRレストランが登場している、など
すでにアイデアとして話が上がっていたり、実現しているものも多く、実施後のアンケートでも「自分たちが妄想したもののほとんどがすでに実在することに驚いた」「他にどんなものがあると調べたい」などの声があがっていました。

グループワークの終わりに、福田さんと竹内さんはこのように話します。

「今日、みなさんがやったような妄想は、どんな職業でも真剣に行われています。『こんなことができたらいいのに』『あんなものがあったら便利なのにな』『それってすでに世の中にあるんじゃない?』『どうやったらそれを実現できるだろう』。こんな議論や調査を繰り返して商品やサービスは開発されていきます。妄想することが、お仕事の中身だったりもするんです。私たちも日々、妄想しながらお仕事をしています。安全でおいしい食をずっと提供し続ける、農業などの食産業でめっちゃ稼いでいきたい、日本食を誇れるようにしたい、宇宙で農業をする。未来を明るく考えられる、ワクワクする未来を創りたいと思っています」

とにかく楽しそうに話をするおふたりに、生徒のみなさんも刺激を受けていました。
「私も自分に合った、やりがいを感じられる職業にいつか出会いたい」と自身のキャリアについて見つめ直した子もいれば、「今回は日本の食生活の変化について学んだが、世界の食生活の変化について調べたい」とさらに知りたい意欲が増した子、「農林水産省という名前からして自分は興味のないことかなと思ったけど、実際話を聞くと身近なことで、とても興味深かった」と農林水産省についての理解を深めた子など、その感想も様々でした。

中でもいちばんうれしかった感想は、「もっとやりたかった」というものです。
真剣モードから笑い声が響く雰囲気に変わる授業の様子は、見ていた大人たちも笑顔になるものとなりました。