未来ハイスクール「日本の医・食の課題を考える」を3月24日に開催しました。

職業人として登場したのは、東京都立多摩総合医療センターで内科医をつとめる進谷 憲亮さん(11/5にも登場)、農林水産省 福田かおるさん、農林水産省 北口善教さん。前半は進谷さんから医療について福田さんが食についてプレゼンテーションを行い、後半でプレゼン内容や質疑・ディスカッションの中から社会的課題を拾い出し、グループで解決策を考えてきました。

最初に進谷さんが日本の医療現場を紹介します。病院の中だけですべてを解決するのは難しく、地域で医療に取り組んでいくことの必要性を語ります。健康とは身体的要素や精神的要素だけでなく、価値観、社会的要素が満たされることで保たれます。この視点から、医療者はこの4分野をみていく人であり、赤ちゃんを育てるお母さんも含め、誰もが医療者であることを意識して欲しいと伝えます。

また、怪我や癌といったものだけでなく「孤独」もひとつの病気だと指摘します。日本で10代、20代、30代の死因の1位は何か。自殺です。人とのつながりがあれば防げるかもしれない。社会的要素の重要性が増していることも強調しました。

男子の中学2年生の「地域医療というのはどの範囲か?」との質問に、進谷さんは、地域医療は町単位のことも地域医療であるが、実は家族も、日本という範囲も地域医療であると伝えます。

福田さんからは、農林水産省の若手官僚がまとめている「この国の食と私たちの仕事の未来地図」の要点について発表しました。その中で特に参加した生徒から質問が集まったのは、最先端の食の技術です。例えば、牛の肉から細胞を取り出し、実験室で肉をつくることができる「培養肉」、クッキーなどができる3Dプリンターのような機械などです。

培養肉とはそもそもどういうものか。食物連鎖を壊さないのか。「培養肉」について違和感を持ちつつも、その存在意義についての理解を深めようとする鋭い質問に対し、福田さん、北口さんも真剣かつ丁寧に答えていきました。

正しい情報とは

後半のディスカッションは2回に区切って行いました。最初に気になるテーマを整理して発表し、2回目の発表ではさらに内容を吟味して行きました。

グループAが議論した課題は「偏った食事」です。食べるものが自由になっている現代だからこそ好きなものばかりを食べて偏ってしまう。一方、糖質制限をしたいと思った場合にそれに対応する食事は少ない。それらを解決するために運動をするコミュニティを作って、終わってからみんなで偏らないメニューの食事を楽しむという企画を提案しました。

グループBは食と医について議論します。食品添加物の情報は、掲載されてはいるけれども、ラベルをみても何が入っていてるかわからない。生産者側の表示の工夫と消費者側が知ろうと思う努力の必要性を指摘しました。医療については、埼玉県は病院の数に対して、医療者が不足している状況について、地域のコミュニティで解決できる道があるのではないかという議論が行われました。

第二弾の発表では、グループAは、会社ごとの食事状況調査を提案をしました。大人になるとほとんどの時間を職場で過ごします。食事は最寄りのコンビニや飲食店ですませます。職場の食事の状況を調べ、他社と比較することで、会社ごとの食事の偏りや、健康度合いがわかるのではないかと発表しました。

グループBは、情報が溢れている中で課題を解決するには、その課題について「情報を知る・考える・発信する」ことが大切だと結論づけました。自らコミュニティに参加したり、情報を調べるなどした上で、どうしたらよいか考え、発信していく。

最後に、生徒たちの発表を受け職業人がフィードバックをしました。

「医療と食は特に、個人が考えるということが大事です」と北口さん。何を食べるのか、どういう医療を受けるのかは、個人の判断になるからです。自ら動いていくことで嘘の情報が弾かれていく。知ること自体も受け身になりがちな日本において、今回の議論で「知る、考える、発表する」の大切さに中高生たちが気づいたことに、「すごい」と感想をもらしました。

福田さんは、みんなが医療者であるように、だれもが食を自分でデザインしてほしいと伝えます。

進谷さんは「今日、みんなの発想に何度悔しいと思ったことか。年って関係ないんだなと思いました。でも、ぼくが一番吸収して帰るから。負けないから(笑)」

最後に進谷さんは言います。
「最初の自己紹介で福岡県出身だと伝えたけど、それさえも嘘かもしれないよ。誰かが東京出身だと言った場合に、しんちゃんが言ってたから福岡だよ、ではだめなんだ」

医療の現場と食の方向性を学び、そして自分で情報を追求し、判断することの大切さに気づく、密度の濃い時間となりました。

職業人オススメの情報サイト
食に関する情報サイト「FOOCOM.net」
http://www.foocom.net/
医療に関する情報サイト「pubmed」
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/

【アンケート】

心に残った言葉
知って、考えて、発信する。
みんなが「医療者」に
しかたない
一人一人が医療者
嘘の情報があふれる中で正偽を判断する。
健康っていうのは、身体的な問題だけではなく精神的なことを社会的な事も関わっているということ

行動しようと思ったこと
自分自身、正しい情報を得られていないと思った。こういう活動に参加して、もっといろんなことを知りたい。
自分の考えを持つこと、発信や人の意見、考えを聞こうと思う。
学校でも広めたいです。
紹介された、サイトを見て、興味を持ったことに関することをさらに深く掘り下げていくこと
培養食料について、もっと知りたいと思いました。

職業人へのメッセージ
子どもの考えだった自分にとって、ところどころでアドバイスや詳しい事情、実際社会に出てみてどうなのかなどを知れて良かったです。自分の将来を考えるきっかけにもなりました。また参加してみたいです。ありがとうございました。
今回も貴重なお時間をありがとうございました。最近、近未来ハイスクールに参加してから自分の中で変わってきた気がします。
とても参考になりました。
僕の関心を持っているところを深く話して下さりとても楽しかったです。
自ら情報を求めていく姿勢が大事だと改めて思いました。
とても面白かったです。学校では得ることのない知識をゲットできただけでなく、それについて考えられて、楽しかったです。